決意表明

彼はもふもふの布団にくるまってひっそりと思った。 「自分を取り戻すのだ!」 それがどんなことを意味するのかは定かではないが、この世界で彼が生きていく上で重要なことを思い出したらしい。

67回目の終戦記念日。 彼は、何人かの戦争を経験しているお客さんから、話を聞いた。 特攻隊員として、鹿屋の基地へ赴いたこと。 当時は、どんどん出撃していく先輩たちを見て、自分も早く行きたいと感じていたこと。 不思議と怖さはなく、むしろみんな妙に…

決断

彼は、9月末で退職することを、支店長に告げた。ずっと計画してきて、長い間考えた末の、決断だった。 直前に、彼が世界で一番信頼をおいていた人が彼に背を向けるという、大きな出来事があった。 精神的支柱を失った彼は、辞めるのをやめることすら考えた。…

邂逅

大学時代、同じサークルだったがほとんど接点のなかった後輩から、急に電話がかかって来た。 電話とは往々にして急にかかってくるものだということを差し引いても、あまりにも心当たりがなさすぎて彼は首をかしげた。 多分、何かの間違いでかかってしまった…

Semana de estudiante.

世間はゴールデンウィークだというのに、彼は一日中、京都の北の方にある大学で授業を受けていた。 彼はその大学の教育学部に通信制で所属しており、単位をすべて取るためには何度か実際に大学に足を運んで授業を受けなければならない。 授業は朝9時から始ま…

さよならネクタイ

東日本大震災から一年。 議論の続く原発問題を背景に、今年も"節電の夏"になりそうだ。 彼の勤める銀行でも、去年に引き続いて"クールビズ"の期間を拡大する旨の通達が出された。 彼の勤める銀行におけるクールビズとは、通常6~9月の間実施される、ノーネク…

後期終わり

彼は、外交になって初めての年度末を迎えた。 彼の務める銀行は半期決算なので、決算を迎えるのは2回目だ。 彼は今期、1億1千万円の預かり資産販売ノルマに対し、1億3千万円の実績を上げた。 彼の所属する支店も様々な部門で健闘し、もしかしたら銀行の表彰…

送別会

彼の務める銀行の移動が発表され、送別会が催された。 今回の異動で、融資相談課時代からお世話になっている人、この一年、最もお世話になった営業課の課長代理など、5人の転出が決まった。 特に課長代理は、「こんなに優しい人はなかなかいない」とそこかし…

彼の決意

今年に入って既に約2か月。 いろいろなことがあったが、まずは、今年は彼が今の会社を辞める年であるという点で、彼にとって大きな意味のある年である。 そして、彼は、今まで耐えてきた理不尽や、黙ってやり過ごしてきた疑問に、立ち向かう決意をした。つま…

理不尽な年末

この12月、彼は随分と理不尽に耐えてきた。 行動をどんどん制限しながら数字を上げろと無理難題を突きつける支店長。 この間まで「やるな」と言っていたことを、今日は「なぜやらないのか」と怒る支店長。 完全なるパワハラ発言を当然のように浴びせかけてく…

彼の行方

こんなニュースを読んだ。 現役の大学生はどういった業界に就職したいと考えているのだろうか。2013年3月卒業予定の大学生(大学院生を含む)に聞いたところ、1位は昨年に続き「商社」(28.5%)であることが、日経HRの調査で分かった。学生からは「高給」「…

皆既月食とKと鴨川

彼は、現在通信課程に在学している大学の“スクーリング”に参加するため、京都を訪れた。 今日の宿は、友人Kの実家である。 彼らはイタリアの写真データを交換し、イタリアで観たローマ戦の動画を見て、一乗寺の天天有でラーメンを食べた。天天有のラーメン(…

散々たる金曜とクリスマスの話題

営業課の会議で、彼は営業成績について支店長から詰めに詰められて憤慨。 情勢とタイミングのものだというのが彼の考えだが、支店長の命により、なにがなんでも12月中にあと3,500万円なんとかしなければならないらしい。 結局、成績をあげるために彼のやって…

2011.nov.23 ローマ→関空 イタリア最終日

07:10 起床。ねむい。 足のみずぶくれがさらにパンパンになってる。 歩けないほど。 幸い、窓は外れて落ちることはなかった。でもいつか落ちる。08:10 チェックアウト。やっぱり荷物が重すぎる。 駅地下の店、こんな時間から全部開いてる!MANGOとかさえも。…

2011.nov.22 ヴァチカン・ローマ

07:00 起床。眠すぎる。 そして、歩けないほど足の裏の水ぶくれが痛い。07:15 朝食。昨日買ったカンペールの靴をはく。水ぶくれの痛みが心なしかましになった。曇天の少し雨!! 07:40 出発。ヴァチカンツアーの集合場所へ。 路上の物売りは売り物を傘にかえ…

2011.nov.21 ローマ07:55 起床。疲れ抜けてないし、知らん間に寝てた。08:10 朝食。ここの朝食はパンが全部甘い。08:55 出発。遅め。09:00 メトロのテルミニ駅。 09:06 コロッセオ駅。出たらすぐ目の前にコロッセオ! イタリアの歩行者は信号守らない。09:20…

2011.nov.20 ミラノ→ローマ

06:50 起床。やばい。からだ痛すぎる。 昨日は二人とも寝るつもりなく寝てしまった。 二人とも途中まで布団の上で寝てたから寒かった。 ぼくは荷物の準備もしてなかったけど、3時過ぎに一回起きて準備して寝た。 足の裏痛い。水ぶくれ。 07:50 チェックアウ…

2011.nov.19 ミラノ

19:30 起きるも、眠い。08:10 朝食。クロワッサンがうまいが、毎日同じなので飽きてきた。08:55 出発。 寒い。朝靄が晴れて青空になってきた。09:00 メトロのレプブリカ駅で一日券購入。4.5ユーロ。 なんかイタリア人のおばさんにチケットの買い方聞かれた。…

2011.nov.18 ヴェローナやめてヴェネチア

07:00 起床。昨日、二人ともまだ寝たらあかんのに知らんうちに寝てしまってたからやばい。準備!!08:00 急いで朝食を済ませ、ダッシュで出発。08:07 ミラノ中央駅行きのトラムに飛び乗る。 どこ走ってるのかわからん。ほんまに中央駅につくのか、かなり不安…

2011.nov.17 ミラノ

07:30 起床。曇り模様。さむ!07:55 朝食。 日本人多すぎ。 そして日本人の服の水玉率高過ぎ。朝食はパンとハムとチーズなど。 08:40 出発。電車ストライキにて、歩いて集合場所へ。 めっちゃ寒い。09:00 完全に道に迷う。09:10 トラムの駅でお兄さんに聞い…

2011.nov.16 関空→ミラノ

10:10 空港でKと落ち合う。10:45 搭乗手続きを済ませる。11:15 搭乗ゲート到着。飴を買う。今日はミラノ到着時刻の21:00からイタリア全土でストライキらしいから、ちゃんと着けるのか心配。12:12 搭乗。 直前に、愛媛から来たというやたらテンションの高い…

イタリア

彼は、睡魔と戦いながらスーツケースに荷物をつめる。 友人Kと行くイタリアの旅が、いよいよ明日からである。 しかし、ここ最近の彼は仕事が忙しすぎて、家に帰ってきたら何もせずに寝てしまうという生活を送っていたため、準備がまったくできていない。 元…

電車に帰る人々。

彼は、電車が好きである。 と言っても、車両や路線、その歴史などに興味があるわけではない。 電車に乗っている時間が好きなのだ。 読書をするにしても、音楽を聴くにしても、何かを考えるにしても、電車に乗っているときが、一番集中できる。 毎日乗っても…

SAKANAQUARIUM 2011DocumentaLy

彼は、通6回目ぐらいの、サカナクションのライブに赴いた。 そこで買ったグッズに、山口一郎氏のサインがついていて、彼は、おおはしゃぎ。 このグッズは開封されることのない保存版となってしまった。 ライブは、9月28日に発売されたアルバム『DocumentaLy…

この世界の横暴

彼は憤っている。 家に帰るなり、こう叫んだ。 「おかしい!!やってられん!」 どうやら、その原因は、支店長の発言にあるらしい。 彼は現在、銀行の組合の分会長をやっている。 法律によって、銀行には組合を作ることが義務付けられている。 したがって“銀…

本部検査と支店長のお言葉

突然、彼の勤める支店に本部検査が入った。 検査とは、日頃の業務の“不備”を探しに来るものなのだから、往々にして来るときは突然である。 そうして、彼の所属する営業課からは、実にたくさんの“不備”が見つかってしまった。 彼も大きなミスをしていたし、先…

鴨川デルタに秋の風

彼は、友人Kのもとを訪れた。 CDを渡すために。 ただそのために。 そうして、彼らは語り合った。 彼らの関係は、とても不思議なものである。 彼らは、“全く内容のない不毛な会話”か、 “互いの内面を削り合うような思春期丸出しの会話”のどちらかしかできな…

秋感

「今日は秋やなぁ。」 いつもの公園で、彼はしみじみと秋を感じた。 今日彼は、ここ数か月で初めて、「日陰よりも日向に座りたい。」と感じたのだ。 お客の家の犬は、初めての秋をどう感じているのだろうか。

台風12号ボランティア

彼は、ボランティアとして紀伊半島南部を訪れた。 9月の初めにのろのろとやって来た台風12号により、大きな被害が出た地域の復興支援である。 幸い、彼の住む地域では特に被害が出なかった。 それも影響してか、今回の被害がすごく身近で起きていることなの…

近況

彼の近況は、私が記さなければ世に出ることはない。 そうして、特に世に出すようなこともなければ、そのような情報を収集している人もおらぬであろうことを鑑みると、わざわざここに記すという行為に意味を見いだせず、なかなかに筆が進まぬといった現状であ…