大晦日

彼とぷくぷくの私は、年の瀬の昨日、ガタゴトと電車に揺られてそれぞれの実家に帰った。


そこで彼を待っていたものは、年末で予想外に浮足立った街と、やたらと寒い実家の室内である。
何もしなければ「手伝え」と怒られ、何かすれば「余計なことをするな」と叱られ、弟からも罵られ、彼は「なんだか居場所がないなぁ」と呟いた。
そしてやる瀬ない心持ちで空気のない自転車に跨がって近所をうろうろしたが、寒風吹きすさぶ田舎の国道にすぐさま根負けし、遠く京都の居心地はいいが日当たりのわるい自室に思いを馳せた。


一方私は、祖父母の家でテレビを見ながらちゅるちゅると蕎麦を食べ、親戚からお見舞いにもらったとろとろのプリンを堪能した。窓の外には、祖父の言うところの「白いもの」がちらついている。


時は無常であり、無情である。
そして、人によって相対的であり、すべてのものに対して絶対である。
それぞれの2008年が終わる。