2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

どうせなら

天気もよく暖かい日曜日の昼下がり。いつもなら目を尖らせて原付きをぶっ飛ばしている彼でも、こんな日は五月の陽射しを浴びつつ、鼻唄まじりにのんびりと走りたくもなる。 そんな穏やかな心持ちで駅前から続く道路を南へ向かっていた矢先である。 彼の前を…

邂逅に次ぐ邂逅

彼は今日、約三ヶ月ぶりの献血を終えてから、高校時代の友人と会った。 彼女と会うのも三月以来である。 彼らはカフェで昼ごはんを食べながら近況を報告し合い、就職してからの苦労話などを話し合あった。 そしてカフェを変え、映画や政治などの話題も織り交…

musica崩壊

彼は大いに憤っている。それは、サカナクションのライブの影響によるふくらはぎの痛みが、昨日より一層強くなっているからだけではない。 彼が憤っているのは、彼が住む田舎の町の音楽シーンに対してである。 今日店に並ぶはずのアジカンとやくしまるえつこ…

土下座からの宙返り

彼は、Zepp OSAKAであるサカナクションのライブに参加するために、めんまるさんと共に電車に揺られている。 13時ごろに友人Kとなんばで待ち合わせをしていたのだが、このままではなんばに到着するのは14時になってしまう。 きちんと時間を調べていなかった…

夕焼けと憶測

今日の彼は、来週の試験に向けて生命保険の勉強を少ししたり、祖父母の家でご飯をたべたりしてゆっくり過ごした。 そして夕方になると一人原付きにてめんまるさんの家に向かう。 途中、海沿いで夕日を見てゆっくりと。 景色だけが取り柄の彼の故郷。 それを…

Da me libre

定時の17:00を大きくまわり、18:15を過ぎた辺り。取り立てて今日やらなくてはならない仕事もなくなったので、帰る準備を着々と進めていた彼に上司が尋ねた。 「お前、そうやって帰る準備して、俺が帰れて言うん待ってんのか。」 彼は、臆せず本音で答えた。 …

海沿いと五月

「ほら、仕事とプライベートって別じゃない?」 すれ違った二人組の女性が言っていた。 当たり前である。 当たり前のはず、なのだ。 しかし彼は昨日、休日にも関わらず勤め先の“体育系イベント”に参加させられていた。 せっかくめんまるさんとも休みが重なっ…

さようなら、Estudiantes

9時過ぎに目を覚ました彼らは、昨日の夜遅くまでスーパーファミコンに興じてしまったことを反省しながら、鞍馬山のせいで軋む身体を伸ばしてもそもそと動きはじめた。 朝食をとり、帰る準備をし、友人Kの両親にもお礼の挨拶を済ませてなんとか午前中の内に…

フラッシュバック学生時代

7時に目を覚ました彼と友人Kは、前夜遅くまで意味の無いこと(“ゴリラ哲学”についてなど)ばかり語り合ってしまったことを反省しながら朝食をとり、9時過ぎに家を出た。 本日彼らが向かうは鞍馬山。 彼らが鞍馬山に登るのは、特に鞍馬に行きたいからだと…

Actividad sin significa

昼前に、彼は三条のMinaで大学時代の友人と落ち合った。 彼らは協議の結果三条通のSACRAビル地下にあるエナブランカッというカフェでパスタとタルトのセットを食べた。 店内はほぼ女性客で大変賑わっていたが、働き初めて疲れ切った彼と、就活に疲れ切って引…

河原町

先輩の家を午前9時過ぎに出て阪急電車に乗った彼は、約30分後には河原町に着いていた。 ほんの一ヶ月ほど前まで当たり前のように“ホーム”だった河原町が、当たり前だが見事に“アウェイ”に。なっている。 もう京都に彼の帰る場所はないのだ。 しかし、それで…

ぶらり。

うららかな陽射しの降り注ぐ5月初日の昼下がり。 彼は微熱の体を引っ張ってバスに乗り、駅を目指した。 彼にとっての休日は、家でごろごろ過ごして体を休めることではなく、どこかに出かけて外の世界に触れることなのだ。 たとえ風邪をひいている時であろう…