2007-01-01から1年間の記事一覧

いろいろ

最近は彼にも私にもいろいろなことがあって、非常に忙しく年末が過ぎて行っている。 バイトにより、昼夜逆転の生活が年末年始にかけて続いていく。 お互い、特に心に残っていることといえば、彼は友人と再会したこと。 私は梅田のフェンスに描かれたおかしな…

小心者の勝利

今日、大学主催による外国語の暗誦・スピーチコンテストがあった。 中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語を対象としたコンテストで、そのスペイン語部門において、彼が優勝した。夏のスペイン語単語コンクールに続いて二度目の優勝である。 すぐに緊張…

愛車誘拐事件

「ぼくの愛車をどうしても手に入れて、コレクションの一部にしたいという奴らの気持ちもわからんでもない。しかし、だ!」 彼は憤慨した。 「ぼくにそれを手放すつもりがないからといって、黙って連れ去るとは言語道断だ!」 彼の話を整理するとこうなる。先…

万能話者

女性が、独りで弁当を食べているのが見えた。 彼女はたった独りでいるにも関わらず、時折首を傾げたり笑いったり、納得したように頷いたりしている。誰かと一緒ならばなんということもないことなのだが、なにぶん独りでやっていることなので、これは一体どう…

口内炎と心の渇き

土曜日曜と、私は家でまったりと過ごした。 先週から私の口の中で同時多発的に暴発しては私を苦しめていた口内炎たちを諌める必要があり、それには彼らと対峙し、時間をかけて話し合うことが不可欠だったからである。 あまりにもまったりと過ごしていたたた…

彼の動揺

多文化映像論の講義を終えた彼が教室から出ようとすると、突然後ろから名前を呼ばれた。 誰かに呼び止められるような心あたりのない彼がふいっと振り返ると、そこにはその講義の先生がいて、彼にこんなことを言った。 「いつも一番いい感想を書いてくれてる…

冬休みの話題

クリスマスにはまだ一ヶ月もあるというのに、街はきらきらしたイルミネーションに彩られている。冬休みも近付いた大学構内に入れば、学生たちはガイドブックや旅行会社のパンフレットを片手に、冬休みを利用した旅行の話をするのに夢中になっている。 九州や…

エンクロージャー

私と並んで歩いていた彼が、唐突に、「囲い込みは終わっていない!」と言った。 私は彼を見た。 彼も私を見た。そして更に言った。「既に次へのお膳立てはできている。いつ強制代執行が行なわれてもおかしくはないんだぞ!」 きっと彼は今日、そのような内容…

ちゃこへ

ちゃこが死んだ。 昨日のことだった。 彼女はその報せを、父からのメールで受けた。 いろんな想いが溢れて、止まらなかった。 彼女はわかっていた。 いつか、この日が来ることを。 しかし一方でまた、そんな日は永遠に来ないようにも思われた。 それは彼女の…

観光シーズン

東福寺でドアが開くと、ほぼ満員だった電車が途端に平日の昼前の平穏を取り戻した。 平日の午前中だというのに、人々の東福寺へと向かうこと甚だしい。 紅葉への飽くなき好奇心。 きっと、既に東福寺の橋の上には溢れんばかりの人が押し合いへし合いしていて…

不意

彼は何か深く考えているようだった。 何度かうんうんと唸っていたが、小さな声で確かめるように呟きながら紙にこんな言葉を書いた。 “世界の食料不足は、我々先進国の人間が自らの功罪を省みることなく、またはそれを隠すために敢えて原因をあやふやにし、上…

本棚のせい

今朝から彼は全身の筋肉痛にうんうんと唸りをあげている。それは、一週間程前に彼が散らかりきった自分の部屋を眺めて、 「部屋が散らかっているのは、本を片付ける場所が足りないからだ!」 と高らかに宣言したことに端を発する。 確かに、彼の部屋にある小…

彼、再び他大学の学園祭へ

彼は滋賀にある私立大学の学園祭へ潜り込んだ。その大学の広大な敷地の中にはたくさんの出店があり、とくにその7割がうどんと豚汁に占められているという異様な雰囲気に包まれていたが、彼は適当にそれらマジョリティーの食物をさけて焼きそばやサツマイモス…

今日はアジアン・カンフー・ジェネレーションの新譜『アフターダーク』とフジファブリックの新譜『若者のすべて』が発売される日であった。 それらを大学生協で購入した彼は、早く帰って聴きたいという気持ちのあまり生協の組合員証をカウンターに置き忘れ、…

彼、他大学の学園祭へゆく。

彼は、古い友人の通っている大学の学園祭へといそいそと出掛けていった。 地元から遊びに来た共通の友人と出町柳で待ち合わせ、そこから叡山電車にガタゴトと揺られて着いたところは、彼が何度か訪れたことのある山あいの美しい大学だ。 そこは自由と狂気と…

冷え込み

今日はやけに冷え込む。 朝から空は愁いを込めたような白で、線路の先のほうで地面と交わっている。 霧のような雨が弱く降っていて、自転車で走ると手が凍えた。この秋一番の寒さだ。 大学に着き、教室で私がレポートのことを考えているところに、寒い寒いと…

スペイン語検定

彼は今日、遙々京都産業大学まで行ってスペイン語検定の4級を受験した。 そして、subir(登る)という単語を「下りる」と勘違いして書いてしまったことを悔やんだ。 そして嘆いた。 「京産からはゴルフ場が見える!!京都タワーは見えない!!エスカレーターが…

花の名なのな

彼はバンプ・オブ・チキンの新曲を買って、その曲があまりにもすばらしかったので、なんだか切なくなった。そうしてこう言った。 「あぁ、バンプだ…。でもなんかちょっと、声変わった??」花の名アーティスト: BUMP OF CHICKEN,藤原基央出版社/メーカー: ト…

ねこまた

彼がよく通る道に、いつもおいしそうな匂いが漂う場所がある。 それは紛れも無く“かつおぶし”の匂いで、鍋で大量に茹でられているのだろう、とてつもなく温かく、そして優しく、道行く人々を和みの境地へと誘っている。 「きっとあの家には、齢280年になる猫…

戯言

奈良線に乗っていた彼が小さく「緑の電車はきっと、パセリの味がするに違いない。」と呟いたが、私は敢えてそれを否定も肯定もしない。彼の言うすべての共感不可能な言動にいちいち突っ込んでいてはキリがないし、突っ込んでしまった時点で何故だか負けたよ…

本降り

今日は、雨が実によく降っている。 こんな日は大学内の人通りも少なく、昼休みになんらかの宣伝のために叫ぶ団体も出没しない。 彼に言わせれば、あんな奴らは自分たちが道行く人に一体何を伝えたくて叫んでいるのかもわからなくなっている、つまり叫ぶ内容…

不知人

今日、後ろの席で隣の人と何か話していた人のことを私は知らないが、きっと次男だろう。親は両方50代、兄と姉がいて、名前は義広と梨絵だ。 彼が覚えている最も古い記憶は、父親が鯖に当たって吐いている姿で、好きな音楽はミーハーなJ-POP。 趣味はスポーツ…

案内人もどき

彼は、三条でみけいぬさんと待ち合わせた。 今日はみけいぬさんの古くからの友人が遊びに来ていて、京都に出て来るというから彼は頼まれもしないのに案内役をかってでたのだった。 彼は三条通りをうろうろと不審に歩き回りながらみけいぬさんたちを待った。 …

赤黄色の金木犀

私がよく通る道に、金木犀の生け垣がある。 今、それが見事な赤黄色になっている。 踏切の音が鳴って足を止めると、道いっぱいに広がった甘く切ない匂いが私を包み込む。 私は一つ深呼吸をして、何故か少しいたたまれなくなって、遮断機が上がって、歩き出す…

のたのた探検隊

夜も更けた頃に眠った彼らは、朝の8時頃には既に目を覚まし、9時過ぎにはもう稲荷大社の鳥居を目指して出発していた。稲荷大社は彼の家から程近いところにあり、暇とエネルギーを持て余しているという錯覚に陥った彼らにとっては、そのはけ口として最適で…

四条界隈のたのた祭‏

彼は今日、彼の地元の友人と三条駅で会うことになっていた。 午後三時半頃友人と落ち合った彼は、新京極から四条通り、烏丸通りを通って新風館へ向かった。 三条通りをまっすぐ新風館へ向かわないこの計画性のなさが、のたのた祭の醍醐味であり、のたのた祭…

対決

2007年某日、嵐山にて、伝説の決戦が行われた証拠となる記念石碑ならぬ記念竹碑を発見した。 その竹碑には、こう刻まれている。 「タモリVS山中」 いったいこのふたりに何があったのか…。 そして、タモリはあのタモリだととして、山中とはいったい誰なのか。…

sickoと梅田

彼は、みけいぬさんと共に大阪へ赴き、『sicko』という映画を観た。 そして「アメリカはこわいところやなぁ」とか「日本の医療制度も心配や」などとぷちぷちと感想をもらしながらヴィレッジヴァンガードなどをうろうろした。 お昼は“グリル北斗星”という店で…

有頂天アニバーサリー

彼はお酒も少しは嗜む。かなりいけるクチだと自分では豪語しているが、あまり多く呑んだことがやまだかつてないためその信憑性は極めて低い。 この日彼が呑んだのは“電気ブラン”なるお酒なのだが、偽電気ブランの方が有名になってしまった今となっては、本物…

青い頭と秋の風

夜にもなると、もう半袖のシャツでは寒いくらいの風が盆地の底を駆け回っていて、自転車で街を走れば、いつもの線香の匂いに混じって漂う魚を焼く匂いが心地いい。 さて、彼はというと、この寒さにも驚いているようだが、今日一番驚いたことは、彼のとってい…