2012-01-01から1年間の記事一覧

67回目の終戦記念日。 彼は、何人かの戦争を経験しているお客さんから、話を聞いた。 特攻隊員として、鹿屋の基地へ赴いたこと。 当時は、どんどん出撃していく先輩たちを見て、自分も早く行きたいと感じていたこと。 不思議と怖さはなく、むしろみんな妙に…

決断

彼は、9月末で退職することを、支店長に告げた。ずっと計画してきて、長い間考えた末の、決断だった。 直前に、彼が世界で一番信頼をおいていた人が彼に背を向けるという、大きな出来事があった。 精神的支柱を失った彼は、辞めるのをやめることすら考えた。…

邂逅

大学時代、同じサークルだったがほとんど接点のなかった後輩から、急に電話がかかって来た。 電話とは往々にして急にかかってくるものだということを差し引いても、あまりにも心当たりがなさすぎて彼は首をかしげた。 多分、何かの間違いでかかってしまった…

Semana de estudiante.

世間はゴールデンウィークだというのに、彼は一日中、京都の北の方にある大学で授業を受けていた。 彼はその大学の教育学部に通信制で所属しており、単位をすべて取るためには何度か実際に大学に足を運んで授業を受けなければならない。 授業は朝9時から始ま…

さよならネクタイ

東日本大震災から一年。 議論の続く原発問題を背景に、今年も"節電の夏"になりそうだ。 彼の勤める銀行でも、去年に引き続いて"クールビズ"の期間を拡大する旨の通達が出された。 彼の勤める銀行におけるクールビズとは、通常6~9月の間実施される、ノーネク…

後期終わり

彼は、外交になって初めての年度末を迎えた。 彼の務める銀行は半期決算なので、決算を迎えるのは2回目だ。 彼は今期、1億1千万円の預かり資産販売ノルマに対し、1億3千万円の実績を上げた。 彼の所属する支店も様々な部門で健闘し、もしかしたら銀行の表彰…

送別会

彼の務める銀行の移動が発表され、送別会が催された。 今回の異動で、融資相談課時代からお世話になっている人、この一年、最もお世話になった営業課の課長代理など、5人の転出が決まった。 特に課長代理は、「こんなに優しい人はなかなかいない」とそこかし…

彼の決意

今年に入って既に約2か月。 いろいろなことがあったが、まずは、今年は彼が今の会社を辞める年であるという点で、彼にとって大きな意味のある年である。 そして、彼は、今まで耐えてきた理不尽や、黙ってやり過ごしてきた疑問に、立ち向かう決意をした。つま…