二日連続アーチェリー - una historia para nadie

彼は今日もアーチェリー観戦に出かけた。

11時頃に大井競馬場前駅近くの陸上競技場に着くと、彼の弟の所属するチームは見事に一回戦突破を決めた。

しかし。
喜んだのもつかの間、健闘むなしく二回戦で敗退。

予想外に時間を持て余した彼は、母と観光に出かけた。

そもそも、東京生まれの母と東京を観光するというのは今回が初めてで、彼にとっても彼の母にとっても、予想もしていなかったことである。

そんなことを互いに話ながらも、彼らは日の出埠頭から観光船に乗り、隅田川を上って吾妻橋まで東京クルーズを楽しんだ。

母と二人きりで観光船に揺られて弁当を食べているということに終始不思議な感じがした彼であったが、それもなんだか新鮮に感じられてこれもまた一興という面持ち。

彼も大人になったものである。

そこから吾妻橋を渡って墨田区に入った彼らは、隅田公園を横切って牛嶋神社へ出た。

すると神社では縁日が開かれていて、近くの路地では子どもたちがお神輿を担いで元気よく練り歩いていた。

下町の典型的な秋祭りだ。
なんだか「よつばと！」の８巻を現実に見ているようでほほえましかったが、そのバックには工事中の新東京タワーがそびえ立ち、すごく不思議な情景を生み出していた。