アーチェリー

 彼は、朝から多久市にあるアーチェリー競技場に向った。彼にとっては初めてのアーチェリー観戦である。
 予選が始まり、彼は、初めて見る彼の弟が撃つ姿に感動していた。


 高校総体におけるアーチェリー競技というは、4分で6本の矢を撃ち、それを6回繰り返し、さらにそれを2回繰り返す。合計72本の合計点で競われる。予選を通過できるのは、参加者172人中64人のみである。倍率は2.8倍。初めてアーチェリーとは体力と集中力が勝負のカギになる競技であることを知り、彼の目から鱗が溢れ落ちた。


 それと同時に、アーチェリーというのは不思議な競技であると彼は唸る。それは、その応援の方法である。

 ある学校などは、選手が撃ち終わって点数の確認と矢を取るために的のところにいったときに応援をしている。
 「行けー!」とか「押っせー押せ押せ○○!」と名前を呼んで叫んだり、「パーパーパーパパーパー」と歌ったり。


 集中力が大切な競技であるから競技中に応援することがいけないのはわかるが、さっき撃った結果が変わるわけでもないのに名前を呼ばれての応援は、選手にとってどうなのだろうか。

 「パーパーパーパパーパー」と歌っているのがへたくそで、よく半音になって可笑しい。