アヂト活動

この週末、彼は地元に帰省していた。
目的は、例のアヂトが絡んだ“NPOまがい”の活動である。


彼がそれを“NPOまがい”と呼ぶのに、これといった理由はない。
彼があまりにも小さい頃からそこにいたため、それが一体何なのか把握したあともまだ理解しきれていないのだと思うが、実際にはそれはれっきとしたNPOなのである。


彼は今回、初めて合宿を企画した中学生三年生たちのサポート役として、二人の仲間と共に呼ばれた。


結論から言えば、その合宿は楽しかった。そして、いろんな意味で非常に有意義なものであった。


予算のはっきりしない買い出しに始まり、次の日の朝食べるゼリーを作って冷やし、夜食にするはずのクレープをおやつにたべ、全体でゲームを行う。
個性がぶつかり合い、なかなかことが進まない。晩御飯の準備が後回しになるのも必然である。


夜にはおやつと晩御飯を一緒に食べ、温泉に浸かる。
そのあとは、裏の山と墓地を利用した肝試しとビンゴ大会である。
「肝試しは任せた!」そう言われていたはずの彼は、それを実行するか否かが晩御飯時まで決定されていなかったことに閉口したが、なんとか三人で肝試しを作り上げた。


彼は言う。
「中三の彼らが初めて一から企画したもので、彼らのやりたいことがすべて詰め込まれた合宿だった気がする。スケジュール的にも厳しいものがあったけどなんとか対応できたし、次に向けていい経験になったはず。」


合宿が終わってからはささやかな打ち上げと反省会が行われたが、徹夜明けの彼らがまともに話し合えるはずもなく、夕方に彼はふらふらと実家に帰り着いた。
本当はその日に京都へ戻るはずだったのだがもはやそんな気力はどこにもなく、結局は翌朝6時の電車にゆられて一限の授業を受けた。