スペイン語

彼は久々にスペイン語の授業に出た。


夏の間にかなり忘れてしまっている自覚があったので、久しぶりにスペイン語に触れてみるのは少し勇気がいった。


勇気はいったが、実際授業に出れば勇気云々は関係ない。
授業を受けるだけである。


そうして彼は、やはりスペイン語を少し忘れてしまっていたことを確認し、同時に、案外それほど忘れていなかった自分に安堵したりした。



彼の大学生活最後のセメスターは、この四年間何度となく繰り返してきたそれとなんら相違なく、静かに始まっている。