内定式〜脅迫観念一択式社会
本日、彼は地元にて内定式を迎えた。
これで、卒業したあかつきには晴れて銀行員となることが決まったわけである。
それと同時に、早速資格試験の宿題が出された。
昨日の秋雨とは打って変わって夏日となった今日、黒いスーツを身に纏い、汗をだらだらながしながら彼は思った。
「これが社会人の洗礼か…会社はこういうふうにしてぼくたちから自由を奪い取っていくんやな…」
確かに、残された短い学生生活の中で早くも就職後のことに時間をさかなければならないのは決して喜ばしいことではない。
そのうえこんなものは序の口で、就職後はさらなる研修や試験などでどんどん自分の時間を奪われていくのだ。
もちろん万人がそれを喜んで受け入れているわけではない。
しかし、嫌であるのにもかかわらず、それは自分の意思で選んで決めた道、なのである。
強制的に、そうなっている。
脅迫観念一択式社会。
我々は、そういうところで生きている。