へろへろ面談へらへら
今週の彼は、毎日06:30に起きて、へろへろになって帰ってきては24:00に就寝する生活が定着しつつある。
ところで、銀行というところは、何年勤めても、上司との面談が半期に一度くらいあるらしい。
だいたい、今年の目標など事前に提出した用紙を元に話をするようだ。
そして彼は今日、一度目の面談を経験した。
彼の上司はいつも厳しく、彼に罵声を浴びせ、あわよくば膝蹴りをくらわさんと狙っている様子なのだが、面談になるとその鬼のような形相を少し和らげた。
上司は彼に「早く社会人として、銀行員としてのルールを身につけろ」
ということや、
「言ったことは一回で覚えろといつも言うが、それはここみたいな小さい支店では仕事の種類が少ないので、時々くる仕事を逃すと次までが長いからチャンスを逃すなということだ。それから人手が足りんくてみんな自分の仕事で手一杯になってるからあんまり何度も教えてやれないし、早く戦力になってほしいんや」
というようなことを言った。
その言葉にまんまと乗せられて、単純な彼は少し「頑張ろう」という気持ちになった。
しかし、さらに上司は彼に、
「ファイナンシャルプランナーとか、銀行外の資格を頑張ってとれ!」
ということも言った。
仕事をしながらの資格試験に、やる前から既にうんざりしていた彼は、一瞬にして「もうやだ」という気持ちに転身した。
ところが上司はそのあと、資格があるとキャリアの幅が広がるという話や、自分も昔いろいろ頑張ったが途中で諦めた話などをして彼の心を若干掴み、また彼を「まぁちょっとがんばってみるかな」という気持ちにさせた。
試験にうんざりしていることに変わりはないが。
そして最後に上司は彼に、「なんか心配とか、言っときたいことあるか」と尋ねた。
彼は、「いえ何もないです。ただ…
早く帰りたいです」
と答え、
「甘いんじゃ!」
と一喝されてへらへらしていた。