土下座からの宙返り

彼は、Zepp OSAKAであるサカナクションのライブに参加するために、めんまるさんと共に電車に揺られている。


13時ごろに友人Kとなんばで待ち合わせをしていたのだが、このままではなんばに到着するのは14時になってしまう。
きちんと時間を調べていなかったのだから、仕方がない。


待ち合わせに遅れる旨を友人Kに伝えた彼は社会人失格の烙印を押され、「謝ります。謝謝」という彼の謝り方に誠意が足りないと、“土下座からの宙返り”を要求された。


しかし彼は開き直り、「もはやぼくは社会人ではない!これからは“社会児”としてぶいぶいいわせていきます。」とわけのわからない屁理屈を粘土のようにこねくりまわした揚句、めんまるさんに謝らせるという、おかしな状況を作り出した。


そして電車は山あいを抜け、彼は眠そうに車窓の景色を眺めている。
が、見えるのは住宅か畑か山肌ばかりである。


今日は、雨降る夜になりそうだ。