人事異動と希望的観測

piedra-blanca2010-09-15

この金曜日、彼の働く銀行では大規模な人事異動が発表されるらしい。

働き始めてまだ半年の彼が直接異動することはまずあり得ないが、支店のメンバーがどう変わるか、或いは変わらないかということは、彼にとってまさに死活問題である。


銀行では、春と秋に大規模な人事異動が行われ、一つの支店にいる期間が3年になるのを一つの基準として異動する人を決めているらしいのだが、3年半くらい変わらないこともあれば、2年半で変わることも多々ある。

そして、彼のいる支店の中で彼に直接影響力があり、この秋に今の支店で2年半を迎えるのが、支店長と、彼の直属の上司である。


彼の直属の上司は、そのあまりにも非人道的な言動によりこの半年間彼を苦しめ続けてきたが、周りからの「あと半年で変わるかもしれないから」という不確実でふわふわした励ましによってなんとか持ちこたえて来れた部分もあった。


死ね、ボケ、辞めろ、カス、アホンダラ…数々の暴言も、「あと少しの我慢かもしれない!」という淡い期待によってぎりぎり、正常な状態を維持することができたというものである。


もしこのタイミングで上司が異動してくれなければ、彼があと半年持ちこたえられるかどうか…。



その一方で実は、その上司が異動しなくても、彼がその上司から逃れられる異動のパターンというのが存在する。


それは、現在の融資課から営業課へ、彼自身が異動することである。
その場合、支店は変わらないが、今の上司の下からは出られる。
実際、新入行員の約2割は、この秋から営業課へ異動することが決まっているといい、彼がその中の一人である可能性ももちろんあるのだ。

つまり、彼の現在の状況を打開するためには、
1.直属の上司が異動する
2.彼自身が異動する
3.その両方

という三つのパターンが考えられるため、確立としてはかなり高いものになっていると彼自身はふんでいるのだ。


ところが、そういった可能性の一方で、もう一つのパターン―彼はあまり考えないようにしているのだが
4.どちら異動しない
という悲しい結果が待っていないとは言い切れないのである。


彼は悩む。
「淡い期待をして、悲しい結果が出たときのショックは大きすぎる!」


そしてさらに悩む。
「もし外交に出たら上司からは逃れられるが、今度は厳しいノルマに追い詰められてえらいことになってしまうではないか。」


そして現在における希望的観測を織り交ぜて出た結論がこれである。
「どうせ半年後には外交に出なければいけないのだから、今は未だ融資で、上司だけ変わってくれるというのがベストだ!!」


果たして、彼の甘い甘い希望は実現するのか。


すべては金曜に明らかになる。