カフェレスト・ラディッシュ

piedra-blanca2010-11-30

先週土曜日。
名古屋駅に着いた彼は、知多半島に住む弟と合流し、“カフェレスト・ラディッシュ”へ向かった。


ラディッシュとは、ご存知HTBの名物番組“水曜どうでしょう”のディレクターである藤村氏のお母さんとお兄さんがやっている店で、どうでしょう内にも登場するなどファンの間で聖地となっているところである。
店内にはどうでしょうグッズや撮影で実際に使われたかもしれない小道具が所狭しと並べられている。


この日の彼らは幸運であった。
店員さんによると、土曜日にしてはいつもの3分の1ぐらいの混み具合であったらしいし、そのおかげで、忙しいときは厨房から出てこられない藤村氏のご母堂、通称“かあちゃん”も表に出てきてくれた。


その上、ランチを食べて腹がいっぱいになったので今日はおあずけかと思われた“かあちゃん小倉トースト”を、隣のお客(女性2人)が彼と弟に一切れずつ分けてくれたのである。



あれはうまかった。


いや、それはもちろん、彼らも分けてくれた女性に対して、半額ぐらいは払った方がいいのではないかとも考えた。
なにしろ、まさに4切れの内の2切れをいただいたのだから。


しかしすぐに、「これは一期一会のすばらしさなのだ。」と開き直った。


タダでもらったからこその喜びなのであって、お金を払ってしまえばその喜びの価値は半減してしまうだろう。
分けてくれた方々も、彼らがその幸運を純粋に喜んでいるからこそ、「分けてあげて良かったな」と思っているに違いないのだ。
その無償の好意をわざわざねじ曲げて、「半分払います」などと言えば、それこそ野暮というものだ。


という結論を、彼らは一言も交わさずに同時に出し…つまりは二人ともあまり深く考えずに、お礼を言ってラディッシュを後にした。


かあちゃんにも会え、小倉トーストは分けてもらい、お兄さんにはコーヒーを一杯サービスしてもらい…なんだかとても運のいい日だ。

こんな日には、漁に出れば大量、試合をすれば快勝で、穴を掘ればきっと財宝で、向かうところ敵無しといった気持ちになる。


というようなことを二人はまったく話したりしなかったし、これっぽっちも思わなかった。


ただただ、底知れぬ満足感と底なしの満腹感を抱えて地下鉄に乗り、栄の街を歩き回った。


ただ、彼がどれだけ歩こうと、昼に食べたものすごいボリュームのランチと小倉トーストは胃の中で踏ん張り続け、20時を回っても消えぬその満腹感に、彼は長い間苦しめられた。
食べ過ぎ重すぎ歩きすぎの三重苦である。
足まで痛い。


おそるべしラディッシュ、驚異の腹持ち。


また、あの底抜けに明るいかあちゃんに会いに行きたいと、彼らは再訪を約束した。


今度はどうでしょうファンでありながらまだ名古屋の地も踏んだことのないめんまるさんも連れてこようと思っている。