彼の言葉

つい今しがた、彼から電子書簡が届いた。

ついに、“そのとき”がおとずれたのだ。

以下、彼からの書簡を転載する。

お報せ

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本日、17時30分ごろ、わが家の愛犬、りゅう(本名:龍神丸)が、息を引き取りました。

ぼくが帰ってきたときには、まだ温かく、柔らかかったのですが、ほんの少しだけ、最期のときには間に合いませんでした。
“そのとき”は、たまたま早くかえっていた母が看取ってくれました。
とても穏やかな最期だったそうです。

享年13歳11ヵ月。
人間になおすと、かなりの高齢です。

小学校四年になったばかりのぼくが、親に無理をいってもらってきたのでした。
たくさんのものを、りゅうからもらい、学びました。
小学生から社会人になるまでという時期をりゅうと過ごせたことは、ぼくにとってとてもしあわせなことだったのだと、実感しています。

そして、りゅうもそう感じてくれているはず。
そう思い込むことでしか、この気持ちは晴らせません。


りゅうは生前、たくさんの人にかわいがってもらいました。
最後になりましたが、本当にありがとうございました。


写真は、2011年1月15日、りゅうが最後に外で元気そうだったときの様子です。




空には満月。


彼は文面でこそ平静を装っているが、その実まだ現実を受け入れられないでいる。


元気がなくなってから一週間。
あまりにもはやかったが、りゅうのことばかり考えている一週間を過ごせたことは、彼にとってとてもよいことであった。



彼は、家族とみんなで悲しみ、感謝している。



冷たく、固くなってしまったりゅうをなでて、もうここにいない、でもまだここにいるりゅうを呼ぶ。