七夕

今日は七夕である。
彼は少し早い誕生日プレゼントをもらったと言ってふくふくしている。


彼の誕生日は7月24日である。
彼は今年で二十歳になる。
参議院選の投票日が一週間延びたお陰で、彼は初めての投票を今年経験することになった。


彼は言う。「今年は個人的なもの以外にも、京都全体でぼくの誕生日を祝ってくれるんや。」
ここで、彼の言う“彼の誕生日のための”イベントを整理してみよう。

・7月に入り、“彼のために”祇園祭が始まった。
・7日は“彼のための”七夕祭がある。
祇園祭宵山山鉾巡行はいわば“彼の誕生日の前夜祭的な”お祭りである。
・22日(彼の誕生日に一番近い日曜日)には稲荷大社で“彼のために”祭りがひらかれる。
・“彼の誕生日を祝うために”大学では全力でテストが開催される。


彼いわく、これらのお祭りは全て“彼が二十歳になるのを祝福するため”に催されると彼は把握しているらしい。とんだ妄想野郎である。思い上がりも甚だしい。しかし妄想もここまでいくと少し羨ましささえ感じる気がする。さらに彼には仲のよい彼女までいるので、羨ましさどころか憎しみすら感じる。


今日、彼は彼自身が“彼のためのお祭り”と位置付けるひとつ目のお祭りである、三条商店街で開かれた七夕祭り(夜市)に行った。そこは商店街の人々が出店をやっているので、通常のお祭りよりはかなり安くいろんなものが買える。彼はかき氷と角煮まん、すじ煮込みなどを買ってご満悦で商店街をあとにした。そしてあの鴨川のほとりで、等間隔の対岸に座り、誕生日のプレゼントをもらったというのだ。


写真は彼がもらったという時計である。

彼は、時計について何か強い思い入れがあるらしいので、後日また書こうと思う。