救急車

 私は今日、不覚にも救急車によって京都医療センターへ運ばれた。
 昼過ぎ頃から胃の辺りが痛みだしたのが夜になっても治まらず、のたうちまわる程の痛みで原因もわからない。今までに経験したことのない痛みで、もし病気だったら大変だと思ったが病院に行こうにも雨と痛みと遠さで自力では行けず、さらに熱まで出て、このままでは夜を越せないのではないかという様相を呈してきたので仕方なく呼んだのだ。


 初めての救急車に緊張しながら病院に着いた私は、いろいろ聞かれ、レントゲンを撮られ、心電図を録られ、血液を採られてベッドに転がされた。血液を採られるときには「ちょっとチクっとしますよ〜」と言われたが、「ちょっとぐらいチクっとせんで注射と言えるかぃ!なんぼのもんじゃい!!」と心の中で強がった。そしてその後もベッドの上で痛みにもがきながら検査の結果を待った。


 検査の結果は、胃に穴が開いてるとか腫瘍があるとか、そういう特別に悪いところはなかったということで一安心した。よかった。もし入院なんてことになったら、前期の単位がことごとく露と消えるところであった。


 初診料も含めて財布の中のほぼ全財産を泣く泣く払い、タクシーで帰って(ワンメーターだったが)無一文になった。その後も胃の辺りは痛んでいたが、一時に比べると大分マシになり、朝起きるともうほとんど治っていた。一体なんだったのだろうか。救急車に乗って病院に行ったのがまるで夢のように思われたが、財布の中身はしっかりと無くなっていた。