プレゼント

夜には、彼のためのささやかなお祝いが開かれた。
彼にとってはそんなささやかなお祝いをされることすら希有なことである。
彼は、赤玉ポートワイン三ツ矢サイダー割りを呑み呑み特製オムライスとカラーゲン(唐揚げ)を食べ、ふくふくとしているところにみけいぬさんから予想外のプレゼントを渡され、驚いた。
彼がプレゼントを開けると、そこには二十歳になったことを記念してアダルティなネクタイが入っていたのだという。
そのネクタイがこれである。

実に大人な感じのネクタイだが、なんと彼の好きなスペインブランド・ZARAのものだという。
彼はZARAが好きなのだが、彼が持っているZARAの製品はポロシャツがたった1枚だけである。
それもそのはず。彼の好意に対して、ZARA側は彼には手の届かない値段をつけるといういけずな対応に出て彼を泣かせ続けているのだ。
それだけに、彼にはZARAのネクタイが嬉しかったようだ。
さて、彼が次にスーツを着るのはいつになるのだろうか。

そして彼は、鬼ヶ島のように妖しく光るケーキをもさもさと食べた。