冷え込み
今日はやけに冷え込む。
朝から空は愁いを込めたような白で、線路の先のほうで地面と交わっている。
霧のような雨が弱く降っていて、自転車で走ると手が凍えた。この秋一番の寒さだ。
大学に着き、教室で私がレポートのことを考えているところに、寒い寒いと言いながら彼が入ってきた。
彼は、一時は凍えていた手が必要以上に温もりを取り戻す感覚を楽しみながら、自転車に乗っているとズボンと靴下の間がやけに寒くてかなわないというような話をした。
そして、おもむろに鞄から『涼宮ハルヒの陰謀』と書かれた本を取り出し、読み始めた。
その本について私は詳しくは知らないが、私の知らない世界の本であるという認識だけはあった。まさか彼がそんなジャンルの本を持っているとは。
彼は、それをみけいぬさんのお姉さんの旦那さんに借りたのだという。どうやら彼は、私の知らない文化圏に入り込もうとしているようだ。
そんな彼の横で私は、『しゃばけ』シリーズの第三巻、『ねこのばば』を読んだ。
きゃわきゃわと騒ぐ鳴家(やなり)がかわいいくて仕方ない。私の家の端っこの方からも出てきてくれたりはしないだろうかと思う。
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