観光シーズン

東福寺でドアが開くと、ほぼ満員だった電車が途端に平日の昼前の平穏を取り戻した。
平日の午前中だというのに、人々の東福寺へと向かうこと甚だしい。
紅葉への飽くなき好奇心。


きっと、既に東福寺の橋の上には溢れんばかりの人が押し合いへし合いしていて、それを紅葉に遠くから眺められているのだろうなぁ。


あぁ、そうに違いない。
人々は紅葉を一方的に見に行っているつもりになっているが、実は逆に紅葉した木々から見られているのだ
花見などもそうであろう。
人々が桜や紅葉を見に行きたくなるのは、自主的なようで実は木々に操られているからなのだ。


あぁそうに違いない、違いない。
違いない違いない。
あぁ電車を降りよう。そうしよう。