母校の図書館へ。

補講期間の休みを利用して実家に帰っていた彼は、家にいても特にすることがないので弟の自転車に乗ってふらりと出かけた。


そして、久々(と言っても秋以来だが)に母校である高校を訪れた。


たまたまパンクしていた弟の自転車を校門の横にある自転車屋で修理をしてもらっているときに、休み時間にタバコを吸いに来た先生たちと出くわした。その先生方と話すと、ある先生は今年も飛ばされる危機に面しているようで、今度こそ本当に最後かもしれないと彼は憂慮した。


その後、かつての定位置に自転車を駐車し、まっすぐ図書館へ向かう。
「思えば、高校時代、特に2年の後半からはほぼ毎日図書館に入り浸っていたなぁ。」
彼が少し嬉しそうに話す。
「放課後は図書館に行く」という、ほぼ自宅感覚で通っていたようだ。

勉強もせず、何か仕事をするわけでもなく、最後のひとりになり、閉館するまで。
一体何をしていたのだろうか。
彼が図書館で一体何をしていたのかをご存じの方は、是非ご一報いただきたい。


図書館に着くと、お馴染みの司書さんが“驚きとちょっと面倒くさそうな気持ちが入り交じったような”お馴染みの表情で彼を迎えた。


それから約5時間…。


彼は図書館の司書室に入り浸り、懐かしい変則チャイムを幾度となく聞きながらいろいろ話したり、数年分の卒業アルバムを眺めて笑ったり、彼自身の高校時代のラクガキの束が出てきて驚いたりして非常に、いや、異常なほど楽しく過ごした。

彼にとってあの場所は、現段階において、この上ない程居心地のいい場所なのだ。
彼が在学中せっせと持って行ったたくさんの小物類もカウンターや司書室に置かれている。
彼の個人的な書籍も、少しずつ持って帰ってはいるがまだカウンターのそこかしこに残っている。


目下のところ、彼の図書館に関する不安は、「今の司書さんが異動になったらどうしよう」ということである。
それよりも、少しでも司書さんに迷惑をかけないことを考えたらどうなのかと私は思う。