極寒、降雪

京都では連日の雪が降っている。
滅多に雪の降らない温暖な地域で育った彼は、雪が降ると訳もなく少し嬉しくなる。
そして、雨なら間違いなく傘を差す量でも、雪ならばなんとなく差さなくても大丈夫のような錯覚に陥り、すぐに溶ける雪でびしょ濡れになる。


彼が所用で自転車を飛ばすと、あれよあれよという間に頭からコートまで真っ白になった。
初めの頃こそキリンの缶コーヒーFIREのCMのように「挽きたて〜挽きたて〜♪」と歌い、
大泉洋氏さながらに雪を舞い落としながらくるくると回ってみたりしていたのだが、すぐに
「こんな暢気なことをやっていられる場合ではないぞ。これは命に関わる寒さだ!」
という結論に達し、所用をすませたあとまっすぐ家に帰ってこたつの暖かさににその身を委ねた。


いくら雪が珍しい彼にとっても、こう連日降られるとそろそろ嫌気がさしてきているようである。