すぺーん!

来たる2月10日から3月30日の間、彼はスペインに留学する。
日程としては、2月10日〜29日の3週間をマドリッドで、そして3月1日の飛行機でバルセロナに移動し、29日までの4週間をそこで過ごす予定である。
そこで、彼がスペインに行っている間は、私は彼にこのブログの更新権を貸与したいと考えている。
その間私は彼の近況を知ることができないし、私の生活など書いても何の面白みもないからである。


留学といっても50日間の短期留学なのだが、それでも色々と不安は尽きないようだ。

スペインと言えば、スリ、引ったくり、強盗などによる日本人の犯罪被害が特出して多い国である。
その背景にはモロッコなどからの移民の大量受け入れやそれに伴う貧困層の増大などがあるが、日本人に特に多いというのは、不必要な大金や航空券、パスポートなどを無防備に持ち歩く日本人が後を絶たないからだ。

そこで彼はそれらの犯罪に遭わないために努力することを誓った。

しかし、そこに新たな不安が出現した。
彼がスペイン滞在中に、4年に一度行われるスペインの総選挙があることがわかったのだ。


それがなぜ問題なのか。
実は、前回、すなわち4年前の3月に行われた総選挙の投票日の3日前に、あの200人もの犠牲者を出した、同時列車爆破テロが起こったのである。
しかも、イスラム原理主義者や過激派などと呼ばれるあのアルカイダによって。
その影響により、右派与党PPが左派野党PSOEに逆転され政権が交代したのだが、それはまぁいい。


ただでさえ、スペインにはバスク地方の独立を目指しテロなどの武力行動を行っているETAバスク祖国と自由)という組織があり、逮捕者も出続けている。
先月には、バルセロナアルカイダ系のパレスチナ人がテロ未遂で逮捕された。
テロへの動きは、決して「ない」とは言えないところに来ている。
彼はそれを憂いている。


テロとなれば、個人的な対策にも限界がある。
スペイン警察の能力に頼り、テロが起きないことを祈るばかりだ。


しかし、憂いてばかりでは何も始まらない。事故を恐れれば、家からも出られなくなる。地震を恐れれば、その家にさえいられない。


彼は少しにやりと笑いながら、「平和の大切さを噛み締め、“生きている”ということを日々深く感じながら、様々なことを学び、吸収し、広い世界に住む一人の人間として一回り成長して帰ってきたい」と宣言した。


マドリッドのレイナソフィア美術館では今月からピカソ展をやっているし、彼の念願が叶って、数年にわたって閉館していたバルセロナのグエル邸もオープンする。サッカーだって開催されるし、春の祭もある。
目の前に広がるのは遥かなる世界と、果てしない希望だ。
と、思い込むようにしているらしい。