走り回る選択

本日の彼は走り回っている。
昼休憩に入るやいなや彼の出身校である高校と中学校に電話をして来年度の教育実習の受付期間を尋ね、パソコンの棟へ行って残っていた受講登録をオンラインで済ませ、教職課へ行って来たる土曜日に行われる介護等体験に関する講演に他の講義のため出席できない旨を説明し、さらにスペイン語の先生の研究室へ行って講義を聴講して自分に会ったレベルの勉強がしたいという相談をし、お昼を食べる暇もなくぎりぎりいっぱいで次の講義が行われる部屋へ駆け付けた。

あまりにもいろいろなことを一度にやったため、彼自身この短い間に一体自分が何と何をやったのか正確に理解できていないようであるので、代わって私が整理してしんぜよう。
・教育実習−高校の受付期間は7月からで、3週間な実習ができるかどうかはそのときにならないとわからない。要再連絡。中学校は教頭先生がまだ詳しい内容を把握していなかったため、後日連絡が入る。
つまり、現段階で何も決まらなかったという結果である。
・受講登録−一つは登録が完了したが、もう一つ登録しようと思っていたスペイン語の講義が、おそらく“既にそのレベル以上の講義を受講し終わっている”という理由で登録できなかった。
スペイン語−したがって、彼は受講生としてではなく聴講生としてスペイン語の講義に出席し、自分のレベルに合った勉強を個別に指導してほしいという旨を先生に申し込み、承諾された。

大枠で見れば一長一短、五分五分くらいに思える彼の昼休みの成果であるが、最も重要な問題である教育実習が宙づり状態になっていることは彼にとっても大きな精神的負担になっているに違いない。さらに中学校の申し込み期間が判明したときには、高校で3週間の実習ができることに賭けて高校の申し込みまで待つのか、それともリスクの少ないうちに早々と中学校に申し込みをするのかという選択に迫られる。
いくらなんでも、そこで第三の選択肢として“無一文☆自分探しの旅ユーラシア大陸海岸沿い一周10ヵ年計画”のようなわけのわからない方向へ向いて走り出すほど、彼も何も考えていないわけではないだろう。
彼の額に汗が光るのは、部屋の中が想像以上に暑い上に彼が無闇やたらと厚着をしているせいだけではあるまい。
今度ばかりは、彼も真剣なようである。