暁斎−近代に架ける橋

土曜日の夕方、講義を受け終えた彼は自転車でふらりと京都国立博物館を訪れた。
そしてたまたまやっていた『暁斎−近代に架ける橋』という特別展をみた。

暁斎という人物を彼は知らなかったが、その作品のあまりのおもしろさに目を奪われて2時間以上も特別展を楽しんだ。
暁斎は幕末から明治期にかけて活躍した狩野派の画家である。
その腕前はなかなかに見事で、またその作風は他に類を見ないユニークなもので、ジャンルも荘厳な仏画からかわいらしい漫画のような画まで多岐にわたっていた。


彼はとりわけ掛け軸の隅に描かれた小さなカエルの絵が気に入り、博物館から帰る際には「カエルぴょこぴょこみぽこぽこ!帰る!カエル!満足満足!」と連呼しながらペダルを漕いでいた。
夜がおりてくる京都盆地の端っこを、カエルの気持ちで帰る彼。