カップリング道

彼は今週発売されたBump Of Chickenカップリング集『present from you』を聴いた。
そして「『プレゼント』は名曲なり!!」と叫んだ。


数あるカップリングの中でも、彼は特に『夢の飼い主』と『銀河鉄道』を聴きながら転げ回っている。
そして時折「ふわ〜〜!」という奇声や「あかんて〜!それは!甘酸っぱい!甘酸っぱい!」となにやらもがもが言っているのが聞こえてくる。
その2曲は、彼がちょうど高校生の頃に発売されたシングル『車輪の唄』と『プラネタリウム』のカップリングになっていた曲である。
彼は、その2曲を聴いて、きらきらした高校の頃の思い出にずぶずぶ浸っているのである。


カップリング曲というものは、アルバムになったときに再び聴く機会があるシングル曲に比べて聴く期間が限定されているものが多い。
そのため、その曲を聴いていた頃の記憶がシングル曲に比べて、より鮮やかに蘇るのである。これぞ、カップリング道の極意である!
と彼は熱弁を振るう。


しかし、人生というものはいつもいつもきらきらしているものではない。
辛かったときに聴いていた曲を聴くと、また辛くなったりもする。
さらに、“その時は幸せだった”という、そんな頃に聴いていた曲というのは、得てして後で聴くのが最も辛いものである。
そんな曲たちを、「こんなこともあったなぁ」と穏やかに微笑みながら聴けるようになってこそ、カップリング道の達人となれるのである。


いやいや、カップリング道って何?
いつからそんな話に…?

present from you

present from you