Re:Re:Re:Re:

今日は絶好のスペイン日和である。スペイン日和とは、彼が名付けた、スペインのような濁りのない真っ青な空のことである。
「霞がかる京の都ではなかなかお目にかかれない」
空を見上げながら自転車を漕ぐ彼が言う。
昨日の午後、彼は故郷の田舎へと電車で帰ってきた。


午前9時半。なぜかまだ開いてない図書館の前に行列ができるという田舎特有の異例の事態を横目で見ながら、彼はアヂトへ向かう。
彼がほぼ毎年、特にここ数年はリーダーとして参加している夏の子どもキャンプの打ち合わせが、怪しいビルの四階で行われるのだ。そこを彼らは「事務所」と呼ぶが、私は今「アヂト」と名付けた。


彼が故郷にいない間は他の仲間が企画を進めていた。にも関わらず、13日が当日だというのに残された準備が山積みになっている。
彼は焦る気持ちと、それすら少し楽しむ気持ちで階段を昇り、アヂトの鍵を開ける。