アートの宇宙へ

piedra-blanca2008-09-26


夜も更けて来た頃、それは友人の六畳間を一瞬にしてアートの宇宙へと変えた。


私がワインの瓶の上に置いた梨が何かの拍子に転げ落ち、ワインを飲んでいたグラスを直撃。
グラスは倒れ、ワインはズボンへと注ぐ。

グラスを起こした瞬間、私は息を飲んだ。と同時に、我を忘れた。
転げ落ちた梨が、見事なまでにグラスに刺さり、グラスに残ったワインとの絶妙なバランスで立っている。
「奇跡のアートや!!」
友人が叫んだ。


六畳間がアートの宇宙と化したことにより我々の気分はむやみに昂揚し、知人に迷惑な電話をかけては口々にわけのわからぬ妄言を吐き、奇怪な歌を歌いながらアヂトの行く末を案じ、外に出て雨のなか木の根踊りを踊った。
ベッドにはニンジンとタマネギが添い寝をしていたが、もはや何も不思議ではない気がした。