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この三連休、彼は実に目まぐるしく動いた。
一日目(土)は午後までの授業のあと、彼の地元から来た友人たちと共に精華大学の学園祭に出かけた。


余談だが、この日は叡山電車の600系が最後の運行をする日であった上に彼らが出町柳駅に着いたときがちょうどその最後の運行をする時間だったようで、出町柳駅やその沿線ではたくさんの人がカメラを構えていた。
むろん彼もやじ馬根性を発揮してその人山に入り込もうとしたのだが、人々の600系にかける熱気に圧されてあまりうまく入り込めなかったようである。
しかしあのまるっこい緑の電車がもう見られないのかとおもうとやはり寂しいものがある。



精華大学の学園祭は、彼らを以って「京都一サイケでカオスな学祭」と言わしめる実力の持ち主で、その入り組んだ地形を利用して数々の怪しげな建造物が立ち並び、その中では酒類の注文が飛び交う。
見上げれば校舎と木々の間に得体の知れぬオブジェが浮かび、視線を下げればすね毛のもじゃもじゃした乙女もどきがところ狭しと駆け回る。
彼らは学内をひとしきりうろうろしながらいくつかの模擬店で夕飯を買い込み、池の周りの階段に座ってそれを食べた。
精華大の模擬店な特徴は、全体的に料理のレベルが高く、値段が高いところにある。料理どころか店の造りまで非常に凝っていておもしろい。
彼は地下に設営された怪しげなバーでHEINEKENを、さらに去年と同じ店でトッポギを買った。その店のトッポギは味についても文句なくうまい上に、値段の割に腹持ちがいいのだ。


腹ごしらえをした彼らは再び混沌の中をうろうろと徘徊し、ステージで奏でる打楽器のビートに痺れながら精華大学を後にした。
大学を出た彼らは叡山電車一乗寺まで行き、“高安”でラーメンと唐揚げを食べた。
高安は壁がガラス張りになっているので、外から中がまる見えである。特にその席で食べている人は、外にならんだ人々の視線を一身に浴び、その一挙手一投足に好奇の目を向けられ、知らないところで罵倒されていて可哀相なことこの上ない。


ラーメンで腹ごしらえをした彼らは、京阪に乗り換えて新車両に興奮しながら彼の下宿に戻り、近くのカラオケに行った。
そうして2時間ほど歌った後、彼の部屋に行き朝までゲームをして過ごした。