ゼミ連の大会近し!

大学のゼミ連合会主催による研究発表大会が来週に迫っている。
我々のグループは、二週間前の他大学との合同大会で優勝しているだけに、学内の大会で負けるわけにはいかない。


発表内容にさらなる深みをもたせるため、我々(5人中4人)は授業や就活の合間を縫って集まった。


軽く発表練習をして時間を確認し、内容や予想される質問への対策などを練る。
そこまではいたって普通のグループ活動であるが、我々の特質上、その普通の活動状態が長く続かないのは周知の事実である。


練習を重ね、話をすればするほど、全員がだんだんとわけのわからぬ精神状態になっていくのが手にとるようにわかる。
“慣れ”というものは恐ろしいもので、周りから見ればどんなにおかしな状態にも当の本人たちはだんだんとなにも感じなくなっていくのである。


そうして我々が悶々と男臭い関係のみを深めている最中にふと気付けば、他のゼミのグループの姿がかなり目につくようになっている。
本番まであと一週間、他のグループも優勝を狙ってそろそろ追い込みに入ってきたのだろう。


しかし、我々のグループと他のグループとを見比べると、何かが違う。

何か…“華やかさ”である。
その原因は、言うまでもなく女性の存在の有無であろう。


我々が男ばかりでねちねちとたがいの欠点をつつき合い、破裂寸前の精神状態を創造して神経を擦り減らしている間に、奴らは和気あいあいと話をし、ときにはお洒落なカフェなんかで集まったりし、中には一歩間違えばグループを分裂することになりかねない、薄氷の上を歩くようなドキドキの恋愛状態を楽しんでいる破廉恥な野郎もいるにちがいない。


そんな奴らに負けてなるものか!!


我々は勝手な想像を膨らませ、それを燃料に精製して不必要な闘争心を燃やし、無意識にさらなる精神的高みを目指そうとして疲れ果てた。


その副産物として、昼に学食に行ったときに、それぞれが何を食べるかさんざん悩んだ揚げ句に4人全員がチキンマヨ定食を頼むという異様な光景が生み出されたのは、もはや必然と言えよう。