「シフォン主義」「アラカルト」
彼は、TSUTAYAでCDを借りた。
借りるときに、レジで「オンラインクーポンをお持ちじゃないですか?」と聞かれたが、彼は持っていなかった。
しかし、オンラインクーポンさえあれば半額でレンタルできるのだ。
以前までの彼なら、そこまできて一旦引き下がるというようなことはしなかっただろう。
「ちょっとまってください」の一言が言えずに、心では泣きながら何食わぬ顔をして金を払い、後で「半額で借りれたのに…」と一人後悔するのだ。
しかし彼も成長した。
金を払う直前に、「オンラインクーポンを持って来るので、会計ちょっとまってもらっていいですか?」と言えたのだ。
そして隅の方に行き、ポスターのQRコードを読み取ってオンラインクーポンをゲットし、半額でレンタルをすることができたのである。
体裁より実利を重視できるようになった彼は、一歩“オバチャン”に近づいたと言えよう。
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「スマトラ警備隊」と「LOVEずっきゅん」は既に聞いたことがあったので、それ以外の曲が目当てで借りたのに、そのすべてで男の人が歌っていたのである。
「夏の黄金比」などは、男の人さえ歌ってなければ何度も聞きたい曲の一つになったはずなのに。男の人の声は、わざとなのかどうかわからないが不快な感じに下手なのだ。
そもそもメインボーカルもかなり下手な感じだが、最大の違いは“可愛いげのある下手さ”かどうかなのだと彼は気付いた。
フジファブリックの「アラカルト」に関しては、「若いなぁ」という感想を持った。「桜並木、二つの傘」や「午前3時」などは初めて聞く曲だったが、あからさまに初期のフジらしくて気に入った。
それにしても志村氏の声が若くて、なんだか人の恥ずかしいものを見ているかのような気持ちになった。