陽気なギャングのアフタースクール

この土日両日を使って行われるはずだった私の予定は、金曜日の夕方になって友人からドタキャンされるという無惨な仕打ちにあい雲散霧消した。
唐突に、そして完全に暇になってしまった私は、ふて腐れながら近所のTSUTAYAに行って邦画のDVDを2本借りてきた。

一本目は、伊坂幸太郎原作の『陽気なギャングが地球を回す』、そして二本目は、大泉洋が活躍しているという点で公開当時から気になっていた『アフタースクール』だ。

まず、『陽気なギャングが地球を回す』を観てみた。
まず、俳優陣がかなりハマリ役だったことが、私の中で評価の高いポイントである。
かなり豪華と言える俳優陣のキャラクターをうまく活かせていた。
この映画の原作を読んだのはもうかなり前になるため、記憶を辿りながらストーリーが進んでいくような状況であったが、映画化するにあたっての設定変更などもさりげなくできていたし、なかなかに楽しめたと思う。
伊坂作品は次々と映画化されているが、どれもかなりクオリティーの高いものになっている。



続いて『アフタースクール』である。
これは公開時から観たいと思っていたのだが、何らかの理由で観ることができず、ずっと気になっていた映画だ。


今回、一年越しに観ることができたが、私は今までこの映画を観れていなかったことを後悔した。


一言でいうと、おもしろすぎる。


私が大泉洋氏のほぼ熱狂的ファンであることを差し引いても、文句なしに面白い。

あっちからもこっちからも伏線が錯綜してきて、それがあるとき急に一カ所に集まってドカンと打ち上げられるような、そしてさらにそれが連発するような、非常に秀逸なストーリーで一時たりとも目が離せない。どんどん作品に引き込まれて行く。


さらに、大泉氏の“本当に演技をしているのかどうか疑わしいくらいに自然な演技"が素晴らしい。やはりこの人、このキャラクターなくしてはこの映画は成し得なかっただろう。
もちろん、堺雅人、佐々木蔵之助のお二方もこれ以上ないハマリ役で、唸る程に切なく、面白く、良い演技をしている。


久々にシビれた。
映画の途中で、「うわーこりゃシビれるわー!」と実際にこぼしてしまうくらいに。
近年稀に見る極上の作品である。
この映画を観たすべての人が、この監督が天才であることを認めざるを得ないだろう。


特典として“オーディオコメンタリー"(大泉氏言うところの“副音声")が付いていて、内田監督と大泉氏が映画の進行に合わせてコメントを入れていくのだが、これが非常〜に面白い。喋りすぎる。うるさすぎる。

しかしこのコメディ的解説があってこそ、「あーここはそういう伏線だったのか!」とか「よー泉はここでこんな演技してたのか!」とか「やっぱりアドリブか!」ということなどを発見することができて、映画を何倍も楽しむことができる。
つくづく、よくできた映画だ。今からでもDVDを買うべきではないかとさえ考えさせられる。
この土日だけで3回は観てしまった。



友人に予定をドタキャンされ、一時は途方に暮れかけた私であったが、結果的にこの土日はとても充実したものになった。

まだ『アフタースクール』を観たことがない人は、是非一度観てみてほしい。
こういう映画こそ、邦画史上に燦然と輝くべき素晴らしい作品だと私は思う。

アフタースクール [DVD]

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