ホッとします
なんだか忙しい毎日。
忙しいのに、肝腎な卒論は一向に進まずに焦っていた彼は、安らぎを求めていた。
そんな折に通り掛かった自動販売機にあった貼り紙が、上の写真である。
「HOTしますよ」
夜になると寒さが身に染みるようになってきたこの季節。
心身ともに満たしてくれそうなこの言葉に、気付けば彼は自販機のボタンを押していた。
しかし彼は、別にHOTな飲み物を買った訳ではない。
ましてや冷たい飲み物など買うはずがない。
彼はただ自販機のボタンを押しただけで、お金は入れていなかったのだ。
だからどうした!
くだらぬ。
実にくだらぬ。
こんなことをわざわざ書いていることが、無駄でしかないとしか思えない。
しかし、世の中に無意味なことなど何一つとしてないのだ。
どんな些細なことにも意味を見出だせる人間に、私はなりたい。