めんまるpadres来訪

めんまるさんのご両親が京都に遊びに来た。


昼の間はめんまるさんも講義があり、彼は卒論に追われていたので17時半ごろに地下鉄蹴上駅で落ち合った。


そこから、インクラインの下を抜ける捻れたトンネルを通って南禅寺へ。


ご両親は、昼の間に石山寺比叡山東照宮など琵琶湖畔を観光し、遊覧船に乗って
比叡山色気づいています」というアナウンスとともに、その見事な紅葉を楽しんだようだった。



南禅寺のライトアップは幻想的であった。
ナントカ時代から変わらないという、その庭を眺めて昔にタイムスリップしたような気持ちになった一方で、いま目の前に浮かび上がる光景は決してかつての庭の持ち主が見られ得なかったものであるという矛盾に、自らの存在の不確かさをぐいぐいと見せ付けられているような、そんなおかしな気持ちにもなって、彼は心のどこかで「ロマンチックが止まりもはん!」と呟いた。


南禅寺を出た一行は、インクラインではしゃいだ。
はしゃぎすぎて、めんまるさんの母上は危うく転びそうになった。


遊んでお腹が空いた彼らは、地下鉄で京都駅へ行き、伊勢丹“かつくら”にて夕食をとった。
懐にいささか安心感の無い彼にとって、かつくらは少し贅沢な御馳走である。


彼らは思う存分ソースをかけ、みそ汁とキャベツをお代わりしてとんかつやエビフライを堪能した。
特にめんまるさんとご両親は、これでもかというくらい、すり鉢で胡麻を擦っていて彼をぽかんとさせた。


彼は後に、その時の光景について「一心不乱に胡麻を擦るめんまるさん一家は、まさに『ロマンチックが止まりもはん!』という心境だったのではないか」と振り返っている。


めんまるさんのご両親は、21時過ぎの快速に乗って朗らかに帰って行った。