キューバ大使館

彼は、水面下でキューバへの卒業旅行の準備を進めている。


キューバに入国する際には“ツーリストカード”というものが必要なのだが、国内におけるその取得方法が“キューバ大使館に行く”か“キューバ大使館に郵送で申し込む”の二通りしかない。


大使館は東京にあるため、彼は後者を選ぶしかないのだが、とにかく情報が少ない。


地球の歩き方Yahoo!トラベル、大使館のホームページなど郵送による取得方法が載っているものはあるのだが、困ったことにそれぞれで“郵送の際に同封する必要がある物”の内容が違っているのだ。


あるものには「4×4cmの写真が必要」と書いてあったり、またあるものには「(写真は必要ないが)パスポートはコピーでなく実物を送らなければならない」と書いてあったり、とにかくどの情報が正しいのかがわからない。


彼は自ら様々な情報を集め、パスポートのコピーに住所などを記入したものや発行手数料2100円の準備をした。
しかし、万が一送るものが足りなかったり間違っていれば、当然ツーリストカードは発行されないだろう。


そんなことがあってはならない。
なぜなら、面倒臭いからだ。



万全を期すために、彼は今朝キューバ大使館に直接電話をして、必要なものを確かめた。


するとどうだろう。

「大使館に直接来られない手数料として2900円必要」
「支払いには現金書留と振込みの2種類がある」
「出発日や大学の電話番号まで書かなければいけない」

など、電話口の中年女性は、次々と彼の全く持っていなかった情報を話すではないか。


出す前に確認してよかった。

それにしても、キューバのツーリストカードに関する情報はもっと統一されるべきである。


結局、彼が領事館の女性に「必要」と言われたのは、

・パスポートのコピー(写真のページ)
・余白に住所、名前、電話番号、出生地、勤務先(学校名)、勤務先住所とその電話番号、出発日を記入
・ツーリストカード代:2100円
・手数料:2900円
・80円切手を貼り、自分の住所を書いた返信用封筒

であった。


それにしても高い。

彼は憤りに似たものを感じながら、郵便局から現金書留を送った。
しかし、それにもまた560円の手数料がかかり、彼はもう呆れて京阪電車に乗り、献血をしに行った。


その行動に、特に関連性はない。