月末の罵声

怒涛のような一日が過ぎた。


初めての月末。
そして連休前。


ATMには長蛇の列。


本気の昼休み10分命令。


初めて目の当たりにした融資先の破産。
もうてんやわんやである。


ただでさえ風邪を薬で押さえ込み、点鼻薬の力を借りて働く彼は既に満身創痍。
そんな忙しい状況でミスをしないはずもなく、上司に「死ね」となじられるのにも耐えながら、なんとか一日を乗り切った。


クソ、ボケ、アホ、死ね。
それが、主に彼の上司が彼に向けて発する主な罵声である。


その語群からは、彼の上司が語彙力にあまり秀でていないということが見てとれるし、人間を育てる際にあまり相応しい言葉ではないということが感じられるだろう。


ところが実際、彼はあまりにも日常的にそんなことを言われている。
そうすると、ほとんど何も感じないほどに慣れてくるものである。


しかし、もういい加減「死ね」と言われるのにも疲れてきた。


一体どういう了見でこのような言葉を発しているのだろうか。


さらに、この上司は彼に罵声を浴びせるだけでなく、時には下品な下ネタを浴びせ掛けてくるので厄介だ。
本当に、ちっとも笑えぬ、書くことさえ憚られるような下劣な内容であるからタチが悪い。


しかしきっと家庭では、あんなこともそんなこともちっとも言わない、よき父なのだろう。


彼が上司のストレスのはけ口になるのなら、彼は休みの日にストレスを発散せねばなるまい。


そうしないと心身ともにもたないはずである。


明日からのゴールデンウィーク、彼は久々に京都を訪れようと考えている。
そのためには、まずよく寝て風邪を治すことである。



彼は果たして、「さぁ頑張るぞ」という気持ちで連休明けを迎えられるのか。


5月半ばから7月にかけての祝日の無さに、現段階で既にげんなりしている彼には少し難しい注文かもしれないが、少しは身体を休めて、全て忘れて、楽しく過ごすことが大切である。


とにもかくにも、ゴールデンウィークは始まった。