河原町

piedra-blanca2010-05-02


先輩の家を午前9時過ぎに出て阪急電車に乗った彼は、約30分後には河原町に着いていた。


ほんの一ヶ月ほど前まで当たり前のように“ホーム”だった河原町が、当たり前だが見事に“アウェイ”に。なっている。
もう京都に彼の帰る場所はないのだ。
しかし、それでもやはり彼にとっては“懐かしさ”と言うよりは“帰ってきた感”のある場所である。


折しもそんなことを考えながら歩いていた矢先、彼は四条河原町の辺りで観光客に道を尋ねられた。


彼は内心「もしかしてまだ“地元感”出てる!? 」と嬉々としながらも、それを悟られまいと必死で繕って道を教えた。


そういえば彼は学生の頃、“道を尋ねられること”を限りなく趣味に近い愉しみとしていた、特異な人間であったことを思い出した。



彼は、午前中の人通りの少なさに学生時代を懐かしみ、何年も閉店セールをやっていて一向に閉店しないと思われた店が閉まって別の店になっていることに時代の移り変わりを感じたりしながら、新京極を歩いた。