散々たる金曜とクリスマスの話題


営業課の会議で、彼は営業成績について支店長から詰めに詰められて憤慨。


情勢とタイミングのものだというのが彼の考えだが、支店長の命により、なにがなんでも12月中にあと3,500万円なんとかしなければならないらしい。


結局、成績をあげるために彼のやっていることは、投資信託の不必要な乗り換え勧誘だ。


こんな調子で年末まで、そうしてまた3月まで、心も体も耐えられるのか。
彼本人にも自信のないところである。


午後7時。
営業会議でズタボロになった彼らは、疲れた顔をひきつらせてそれぞれの家路についた。


霙の降る冷たい空気の中、彼は後輩と共に支店の近くのラーメン屋に立ち寄った。


愚痴の合間に、後輩にクリスマスの予定をたずねたところ、「同期と暴動します」という。
予想外の答えに驚く彼。

「えっ、暴動すんの!?」と聞き返したところ、「しますします。男女3人ずつで、岐阜に日帰りですけど」



…“ボード”である。


落ち着いて考えれば、すぐにわかることではないか。
と言うより、“暴動をする”という言葉など、いったいどこの誰と話せば出てくるのだろうか。


後輩に悟られぬようこっそり納得した彼は、会話が不自然にならぬように取り繕う一方で、“クリスマスに暴動”がどこか妙にしっくりきていた自分を、心の隅で祝福した。


彼の心はまだ、少しは尖っているようである。