理不尽な年末

この12月、彼は随分と理不尽に耐えてきた。


行動をどんどん制限しながら数字を上げろと無理難題を突きつける支店長。


この間まで「やるな」と言っていたことを、今日は「なぜやらないのか」と怒る支店長。


完全なるパワハラ発言を当然のように浴びせかけてくる支店長。


そんな支店長を全力でサポートする次長。



彼は、そんな支店長の“外交いびり”に対して数字で見返してやろうと必死で頑張ってきた。
しかし、数字を追いかけるあまり、時期的によくないかもしれないと思いながらも投信を売ったり、老人をだますような格好で投信の乗り換えをやったり、彼の先輩への人権蹂躙ともいえる支店長の言葉を黙って聞くことに、もう心身共に耐えがたくなってきた。


他にも、数字管理について営業課長を全員の前でこてんぱんに怒鳴ったり、朝礼で融資課の先輩を殴ったり、時間管理を徹底的にやれと言いながら一人だけ当初の終業時刻を過ぎても気づかずに会議をやったりする(しかもそれを誰も指摘できない)など、支店長に対する不信感も大きくなる一方であった。



結局、当初設定された12月の目標に到達できた外交はいなかった。

そもそも、設定されている目標も上から押し付けられたものを形式上“自分で決めた目標である”ということにされたものである。
それに対して「自分で決めたことになぜ責任を持たないのか」と詰められる始末。


その中でも彼は、5人いる外交の中でも最も目標に近いところまで数字を上げてきていた。
これでもかというくらい精いっぱいやって、もうこれ以上無理な数字である。
それでも、褒められたことはない。



支店長は、4日しかない正月休みの中で外交全員に課題を科した。



「12月の目標と実績の乖離について、その原因と、どこで獲得しようと思っていたのかについて1,000字以上で書け」


というものである。


彼は怒りを通り越して落胆を覚えた。


こうなったら、直接的なことは避けるにしても、言いたいことを2,000字でも3,000字でもしたためて提出してやろうかと思っている。