trabajo

さよならネクタイ

東日本大震災から一年。 議論の続く原発問題を背景に、今年も"節電の夏"になりそうだ。 彼の勤める銀行でも、去年に引き続いて"クールビズ"の期間を拡大する旨の通達が出された。 彼の勤める銀行におけるクールビズとは、通常6~9月の間実施される、ノーネク…

後期終わり

彼は、外交になって初めての年度末を迎えた。 彼の務める銀行は半期決算なので、決算を迎えるのは2回目だ。 彼は今期、1億1千万円の預かり資産販売ノルマに対し、1億3千万円の実績を上げた。 彼の所属する支店も様々な部門で健闘し、もしかしたら銀行の表彰…

送別会

彼の務める銀行の移動が発表され、送別会が催された。 今回の異動で、融資相談課時代からお世話になっている人、この一年、最もお世話になった営業課の課長代理など、5人の転出が決まった。 特に課長代理は、「こんなに優しい人はなかなかいない」とそこかし…

彼の決意

今年に入って既に約2か月。 いろいろなことがあったが、まずは、今年は彼が今の会社を辞める年であるという点で、彼にとって大きな意味のある年である。 そして、彼は、今まで耐えてきた理不尽や、黙ってやり過ごしてきた疑問に、立ち向かう決意をした。つま…

理不尽な年末

この12月、彼は随分と理不尽に耐えてきた。 行動をどんどん制限しながら数字を上げろと無理難題を突きつける支店長。 この間まで「やるな」と言っていたことを、今日は「なぜやらないのか」と怒る支店長。 完全なるパワハラ発言を当然のように浴びせかけてく…

この世界の横暴

彼は憤っている。 家に帰るなり、こう叫んだ。 「おかしい!!やってられん!」 どうやら、その原因は、支店長の発言にあるらしい。 彼は現在、銀行の組合の分会長をやっている。 法律によって、銀行には組合を作ることが義務付けられている。 したがって“銀…

本部検査と支店長のお言葉

突然、彼の勤める支店に本部検査が入った。 検査とは、日頃の業務の“不備”を探しに来るものなのだから、往々にして来るときは突然である。 そうして、彼の所属する営業課からは、実にたくさんの“不備”が見つかってしまった。 彼も大きなミスをしていたし、先…

近況

彼の近況は、私が記さなければ世に出ることはない。 そうして、特に世に出すようなこともなければ、そのような情報を収集している人もおらぬであろうことを鑑みると、わざわざここに記すという行為に意味を見いだせず、なかなかに筆が進まぬといった現状であ…

とにもかくにも

「次長が許せない」 彼は最近よく、そう言っている。

社会と仕事

快晴の土曜日だというのに、彼はお城の見える支店にカンヅメで、“コミュニケーションスキルアップセミナー”に参加しなければならなかった。 この研修で彼が感じたことは、“この仕事は、どこまで行っても社会を後から追いかけているのだな”ということだった。…

そんな仕事

最近、彼が誰かと仕事の話をするとき、決まって言うのがこの言葉である。 「お客さんの家に行って、楽しく喋って帰ってきたらいい仕事やったら、めっちゃ向いてるのになぁ!!」 …そんな仕事はない。 まあ、現在、ノルマに縛られながらもお客さんと話すこと…

彼の恐縮

今日は丸一日、研修であった。 対象となっているのは“外交に出て一年以内の人”ばかりで、入行して2〜5年の人、とりわけ去年入行した彼の同期が多い。 午前は講義形式の座学、午後はみんなの前での発表を含むグループワークを行ったのだが、それを終えたと…

お昼のひととき

4月から外交に出た彼は、毎日時間に追われている。 朝は外に出る準備に追われ、 昼は客との約束やその日の予定を消化するのに追われ、 夕方は一日の締めの作業に追われ、 更に、支店長の“残業コスト削減”の方針に追われ…。 連日の追いかけっこに、ギリギリ…

外交デビューと春の雷

ついに、彼が、外交になった。 火曜日に春の人事異動が発表されたのだ。 前々から「出るぞ出るぞ」とは言われていたが、いざとなると何も準備ができていない。何をどうしたらいいのか分からない。そんな状態なのに、気づいたら次の日からもう、先輩について…

哀しい仕事

彼は、高校時代の同級生とばったり遇った。 場所は、彼の座っている融資窓口。 実際に受けていたのは隣の窓口の先輩だったのだが、どことなく見かけたことがある気がしたのだ。そうなると気になって仕方がない。どうにかして確かめたい。彼は、先輩が書類の…