相対性理論

TSUTAYAから帰ってきた彼は、「やっちまった やっちまった」と一人で慌てた。
その手には相対性理論のニューアルバム『ハイファイ新書』が握られている。


彼が相対性理論というバンドと出会ったのは一昨日、帰省途中に彼の部屋に遊びに来た弟から『LOVE ずっきゅん』という曲を紹介されたことに始まる。
パソコンのスピーカーから流れる不思議な声とどこか聴いたことのあるようなメロディ、そして意味不明の歌詞。
最初は「なんだかへんてこりんな曲だ」と首をかしげて笑っていた彼であったのだが、それから二三日経った今日、そのメロディが頭から離れていないことに気づいた。
それに気づいた彼は、必死にその残像を頭から消し去ろうと努力した。

1時間が経った。

気づけば、彼はTSUTAYAで『ハイファイ新書』をレンタルしていた。


彼は動揺した。
こんなところまで手を出して、自分は大丈夫なのだろうか?
相対性理論は、何というジャンルに入るのだろうか?そもそもこの人達は何なのか?
やばいのか?大丈夫なのか?ギリギリ許容範囲なのか?
アウトなのか?セーフなのか?雪なのか?ダルマなのか?雪でいて且つダルマなのか?
ストレートなのか?パーマなのか?パーマをストレートにするためのパーマなのか?云々…。

最終的に彼は「レンタルだから大丈夫」というよくわからない結論を出し、責任を全てそれを彼に紹介した弟になすりつけた。

ハイファイ新書

ハイファイ新書