クロニクル

彼はフジファブリックのニューアルバム、『chronicle』を買った。


一度目に全曲を通して聴いた正直な感想は、「重い」であった。
これは、賛否両論、明暗くっきりだな、と。


彼は事前のインタビュー記事を読んでいたが、それによると今回のアルバムはボーカル、志村氏の内面が全面的に押し出された内容になっており、曲調やアレンジなどもほぼ志村氏の意志を優先させたものになっているらしい。
ここ数年の志村氏の挫折や苦悩を考えれば−それもインタビュー情報であるが−この内容、音になって当然だと納得できる。


全体的に歌詞も音も重く、心の内を吐き出している、爆発させているような曲が多い。
しかしその一貫性の中にもメロディや音の部分で“フジ独特"のバリエーションがちりばめられている。
これまでの変化の流れをくんだ曲から、一体どこに行ってしまうんだ!?という曲もあれば、初期の曲に感じる“フジらしさ"を感じられる曲もある。

とはいえ、やはり万人受けする一枚ではないだろう,ということはフジファンの意見の一致するところだろう。

彼は言う。
「曲調や内容が重いことが原因じゃなくて、フジのファンがそれを求めているかどうかに問題がある気がするなぁ…。バンプを聴くときはそういうのを待ってるけど、フジには求めてるものが曖昧な感じ。」


しかし一方で、アジカンが『ファンクラブ』を出したのが必然であったように、フジにとってもこの一枚は次のステップへの大きな土台となるのではないか、という期待もある。
と言うか、是非そうしてもらいたい、これで終わられては困る、と彼は祈っている。
と、同時に、このアルバムが非常に良い出来であるということを彼は念押しする。
聴けば聴くほど良い感じに心にハマる、実に“するめ"なアルバムだ。


そして、「歌詞カードの最後に書いてあった、スペシャルサンクス“斎藤和義"が気になる…」とつぶやいた。

CHRONICLE(DVD付)

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