ラッシュライフ
ラッシュライフ。
その名の通り、rushな人々のrashな人生がlushに入り組んでいる。
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/04/24
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 133回
- この商品を含むブログ (805件) を見る
泥棒を生業にする男。
父に自殺され、宗教に傾倒する青年。
不倫相手の妻を殺し、再婚することを企むカウンセラーの女性。
職を失い、面接40連敗中の中年男性。
それぞれの人生が、慌ただしく入れ代わり、繋がってゆく。
読んだあと、「なるほど」という気持ちになるのは井坂作品の特徴だ。
「アレはこのことだったのか」と。
そして気づく。
「あれ?やっぱり何も解決してないんじゃないか?」
おかしなことは次々と、それはもうrushにまき起こるのだが、それでもやっぱり、読者はそれぞれのrashな人生の一部を覗かせてもらっているだけで、本が終わったあとも"life goes on bra"…彼らの人生は続いていくのだ。
この『ラッシュライフ』において、深い感銘を受けた言葉がある。
泥棒の黒澤が、たまたま出会った大学時代の友人である佐々岡に向けて言った、
「でもな、人生については誰もがアマチュアなんだよ。」という言葉だ。
誰だって初参加。
誰だって新人。
そうか、人生にプロフェッショナルなんていないのだ。
黒澤は続けて言う。
「はじめて試合に出た新人が、失敗して落ち込むなよ」
なんだか、心の枷が一つとれた気がした。
"here comes the sun it's all light"