宵山万華鏡
今日はいよいよ宵山である。
彼は、なんと三日連続で四条界隈を訪れた。
ここまでくるといよいよ阿呆の域に入ってくる。
今日は地元の友人や弟が遊びに来ているので、彼はまた昨日と同じルートで四条通から西洞院通を上がり、長刀鉾や函谷鉾、月鉾、そして蟷螂山を満喫した。
宵山にもなると祭もいよいよ終わりに近づき、粽や手ぬぐいなども売り切れている山や鉾も出てくる。
当然、出店も売れ残りを出さないために安売りを始めるわけだが、彼らはそれを狙って3本500円のフランクフルトや、50円引きになったHeinekenなどを堪能した。
それに加えて三条新町のカフェ"トゥレ・ドゥー"で祇園祭限定パフェまで食べたのだから、庶民的な彼らはもうすっかり"贅沢に"宵山を楽しんだ気分になった。
その後彼の友人は八幡山で、彼は黒主山でそれぞれおみやげに粽を買い、さらに彼は今年最もお気に入りの鯉山で手ぬぐいを買って大いに満足した。
山伏山で引いたおみくじは、小吉であった。
山鉾も屏風祭も昨日より一層京のまちを彩り、宵山の夜は煌びやかにふけていった。
しかし…。
宵山の夜には、騒がしいこのまちのどこかで何かが起きているのである。
彼は森見登美彦氏の『宵山万華鏡』を読んで、宵山の燦めきと喧噪に潜む恐怖に怯え、
どこかで行われているやもしれぬ破天荒な偽祗園祭に想いを馳せながら、大学生活最後の宵山を、去年の数倍楽しんだ。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 集英社
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