iFeliz cumpleaños!

piedra-blanca2009-07-24

彼が22歳の誕生日を迎え、数人からプレゼントをもらった。


まず、めんまるさんからもらったのは、彼が最近「絵が描きたい」としきりに口にしていたことを考慮したと思われる“水彩色鉛筆セット”とバースデーカード、そして立派な手作りケーキである。


彼はプレゼントに大喜びし、彼好みの“クリーム少なめ”のフルーツケーキをもしゃもしゃと頬張った。


実のところ、彼は自らの誕生日にゼミの飲み会があり遅くまで四条界隈で飲んだあと、朝までカラオケで声をからしていたという罰当たりな男であるため、めんまるさんからプレゼントをもらったのは明けて25日の昼であった。



そのゼミの友人からもらったのが、森見登美彦氏の『恋文の技術』である。

ゼミの友人は、彼が森見氏の作品を好んで読んでいることを知っていた。その友人に森見氏の本を勧めたのが、ほかならぬ彼だったからである。
そのため、ゼミの友人は彼が『恋文の技術』をまだ持っていないかどうかを会話の中でしきりに確認し、さらに「万が一持っていた場合自分で読もう」という思いのもと、彼にその本を贈った。
絶対に誰も(特に自分が)傷付かぬようにと、張りに張られた伏線が彼の足に絡まって何度も転びそうになったが、それもまたその友人らしく、ほほえましい心遣いが彼には嬉しかった。



また、誕生日の前日にはスペイン語のクラスで一緒だった大学の先輩の家に遊びに行って枝豆と焼肉をご馳走になり、さらにバースデーカードとプレゼントをもらった。
そのプレゼントはHard Rock Cafeのピンバッジ(東京・上野駅)とカンバッジ(ソウル)である。
彼は世界中にあるHard Rock Cafeのバッジを集めているので、そのプレゼントにも大層喜んだ。


こうして彼は22歳を迎えたわけであるが、このように誕生日をいろんな人に祝ってもらえるのはとても幸福なことである。


一年に一度、こうしてしあわせな気持ちで過ごせる“誕生日を祝う”という制度を初めに考案した人は偉いなぁと、ぼんやり考える彼であった。


しかし、そこから少し考えを及ばせれば"初めに考案した人"は同時に、沢山の"誕生日を別に祝われない人"から恨まれているかもしれないという可能性に辿り着き、彼はその"初めに考案した人"の身を案じてぶるぶると震えた。

恋文の技術

恋文の技術