書を抱えて山を見る
大学生活最後の年の、前期テストが全て終わった。
明け切らない梅雨の、何とも言えない湿度と熱気にくるまれて、彼は大学から帰れないでいた。
それは、"やらなければならないこと"であり、"早くやり始めたいこと"であり、それでいて"億劫なこと"でもある。
さらに早く終わってほしくもあり、永遠に終わらないでほしいことでもある。
―卒業論文。
大学生活の集大成にして最も面倒くさい課題でもある。
早く終わらせたいと思うが、終わった頃にはすでに"卒業"が目の前に迫っている切なさ余って億劫さ100倍の憎いヤツなのである。
彼は図書館で、卒業論文の参考になりそうな何冊かの本を借りた。
- 作者: 堀坂浩太郎,古田島秀輔,細野昭雄
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2002/11
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: 星野妙子,米村明夫
- 出版社/メーカー: アジア経済研究所
- 発売日: 1993/04
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: 新藤通弘
- 出版社/メーカー: 大村書店
- 発売日: 2000/03
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
アメリカIT多国籍企業の経営戦略 (MINERVA現代経営学叢書)
- 作者: 夏目啓二
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 1999/03
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: 洲之内徹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1998/07
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 12回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
この他に国士舘大学と関西大学の論文集からメキシコの"マキラドーラ"に関する論文をコピーしていたので、合わせるとかなりの量になるはずだ。
ただでさえ本を読むのが遅い彼に、一夏でこの量がさばけないであろうことは想像に易いが、彼はこの他にも未読の本を多く抱えている。
例えば今日借りた洲之内氏の本なども、卒論とは関係なく「ただ読みたかったから」借りただけである。
さらに、最近彼はヘミングウェイの『老人と海』をいまさら衝動買いしていた。
その上、先日の誕生日に友人から贈られた、森見氏の『恋文の技術』もある。
あまつさえ、彼は夏休みにいろいろと国内に遠出する計画を立てているのだ。
もはや、いろいろな物が絡まり合って前が見えない。
大学生活最後を飾る彼の夏は、どのようなものになるのだろうか。
- 作者: ヘミングウェイ,福田恆存
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/05
- メディア: 文庫
- 購入: 23人 クリック: 184回
- この商品を含むブログ (221件) を見る